働き方のその前に。考えてみませんか?本当に意識したい「休み方」

長時間労働が社会問題となり、近年その話題の中心となっているのが「働き方」。政府が主導しさまざまな改革案の議論が進んでいますが、それに伴い、「休み方」にも注目が集まっています。「有休を消化しましょう」「仕事の合間には休憩を挟みましょう」「残業は控えましょう」、「6時間以上睡眠をとりましょう」……。休みの“量”については語られることが多くなりましたが、本当にそれだけで、働き方や生活は変わるのでしょうか? 今回は「休み」の本当の大切さを考えます。

■健康維持するうえで大切な三大要素とは?

ヒトが健康を維持する上で、重要な要素と言えば「運動」「食事」「休養」です。「運動」を広く「動くこと」と捉えれば、この3つの繰り返すことこそが、生きることであると言っても過言ではないでしょう。どんなに効果的に運動を取り入れていても、ファストフードやお菓子ばかり、野菜ばかりといった偏った食事では強い体は作られません。逆もまたしかりで、毎日の食事には気遣っているのに、まったく運動せずにいては筋肉も骨も衰えてしまいます。

健康維持の三大要素

上記の図のように「運動」「食事」「休養」はそれぞれが連関し合っており、大切なのは3つの要素がバランスよく保たれている状態です。「運動」と「食事」は、メタボリックシンドロームをはじめとする生活習慣病の啓蒙で、日本では10年程前から意識されるようになりましたが、「休養」はどうでしょう。過労などの問題を機に、徹夜や休日出勤が“働き者の証拠”のような時代がようやく終わり、ようやくここ数年で睡眠が見直されはじめたばかり。心身の機能を回復させる大切な行動であるにも関わらず、まだまだ意識も知識も低く、働く人も、専業主婦も、塾通いの子どもも、現代人は誰もが休み不足である可能性が高いのです。

■スポーツ科学の分野では、いち早く「休養」に注目

ここで一つ、休養先進国のお話をご紹介しましょう。
健康を担う三大要素の「運動」「食事」「休養」は、アスリートのパフォーマンスを向上させるための必須要素でもあり、スポーツ科学の分野では2006年頃から「休養」の専門的な研究が進んでいます。その先駆けがオーストラリアです。「アメリカでもロシアでもなく、オーストラリア?」ちょっと意外かもしれませんね。1976年のモントリオールオリンピックで金メダルを一つも獲得できなかったことを機に、オーストラリアでは、80年代から選手の心身を高める研究を本格化。現在では国の人口に対する五輪メダル数は世界トップクラスを誇りますが、そのサポートの一翼を担っているのが、2006年に設立された「リカバリーセンター」です。ここで着目しているのが、まさに「休養」。トレーニングや試合の前後に質の高い休養を積極的にとることで、パフォーマンスの向上が期待できることが確認されました。

スポーツ分野での例をお話しましたが、パフォーマンスの向上が望まれるのは、何もアスリートに限ったことではありません。日常生活でもがんばり時はたくさんあります。「運動」や「食事」にプラス、「休養」への意識の持ち方で、毎日の活力や健康が変わる可能性があるのです。

■次の週末は、休みの“質”を意識して過ごそう

ここまで「休養」という言葉で話を進めてきましたが、オフラボでは休みには大きく2つの側面があると考えています。もう一つは「休息」です。

▼休養・・・気力・体力を養う(積極的に心身を休める)
▼休息・・・のんびり過ごす(何もせずに心身を休める)

果たして、正しい「休み方」とは? 実はどちらも必要です。職場の人間関係やご近所づきあい、時には仲のいい友人間でさえと、主に他者との関わりが主なストレス要因となっている現代では、一人になって、頭をからっぽにして過ごす時間も大切。睡眠はその最たるものでしょう。そして、自然の中に出かけるといった、文字通り気力や体力を養うための「休養」も時にはとりたいもの。オフラボの調査からも、低ストレス者はゆっくり過ごす「休息」も積極的な「休養」も大切にしていることがわかっています。

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有給休暇や休憩時間、「取った」だけで満足していませんか? 睡眠と同じで、大切なのは休みの“質”です。例えば、たまには思いっきり寝坊してみる。半日は雑務をしたら、残りの半日はスマホやPCに触れず、自然の中でのんびり過ごすなど。日頃のストレスや疲れから心身を回復させることを意識して、次の休みは過ごしてみませんか?

取材・執筆:オフラボSTAFF 監修:ベネクス、オフラボ

ベネクス

株式会社ベネクス
2005年設立。トレーニング中ではなく、その後の「回復」に着目。独自開発の繊維を用いたリカバリーウェアを展開している。大手スポーツジムに通うアスリートから火が付き、現在は百貨店にもコーナーを持ち、日常で疲労を感じている多くの人が支持。東海大学、埼玉大学などとの共同研究も盛んに行っている。

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