実は好き嫌いじゃないのかも。子どもの“食べ方”、見てますか?

子どもたちには、栄養バランスのいい食事をたくさん食べて、すくすく育ってもらいたいというのがパパやママの願いでしょう。もちろん食べる内容も重要ですが、見落としがちなのが食べ方です。とは言っても、今回はお箸の持ち方や食事中は足を組まないといったマナーの話ではありません。食事の欧米化などによる“噛み方”の変化が、子どもたちの成長に大きな影響を及ぼしているのです。株式会社ロッテの「噛むこと研究室」で話をうかがいました。

■食生活の変化で増えた「噛まない食事」

食糧難だった昭和の戦中戦後から高度経済成長期、平成のバブル経済期を経て、令和へ。3つの元号を駆け抜ける過程で、ライフスタイルしかり、物ごとの価値観しかり、日本は猛スピードで変化してきました。中でももっとも大きく変わったものの一つが、食生活です。昔は白米や玄米だった主食が、今や小麦粉が主体のパンやパスタなどに。オフラボが全国14万人に行った「ココロの体力測定2018」調査でも、「一日に1回もご飯(お米)を食べない」という20~69歳が10.14%、もっとも多かった20代男性は平均の倍近い17.2%存在しました*。これにより、何が起きているか? ご飯・お味噌汁・おかずのいわゆる定食スタイルから、ハンバーガーやピザなど一つで完結してしまう単品スタイルに変わったことによる栄養バランスの変化ももちろんそうですが、今回の視点は、昔と比較し「噛まない食事」が増えているということです。

男女・年代別「3食ごはん(米)食でない」比較(平日)

■歯を支える大切な土台、あごの発達に悪影響が

近年、食べものの嗜好が、歯ごたえのないものに変わってきています。おやつも、サクッと軽いスナック菓子やふわふわのケーキ、元々柔らかいプリンですら、とろりとしたなめらか食感が人気です。噛まなくていい食事が増えている時代の子どもたちの噛む回数が少なくなっており、それによりあごの骨や筋肉が発達せず、顔立ちの変化も起きています。細いあごは見た目はいいかもしれませんが、歯の土台の面積が小さくなることは、噛み合わせや歯並びには悪影響です。その結果、歯科矯正に通う子どもが増えているといいます。
共働きが当たり前になっている現代では、家族一緒に食卓を囲むことが難しい場合もあります。例えば、仕事から帰って、子どもが食べたお皿に残っていた野菜。これだけを見たら、きっと「また嫌いなものだけ残して!」を思うことでしょう。しかし好き嫌いしているわけではなく、うまく咀嚼できない(噛み切れない、噛みづらい)ことで残してしまっているケースもあるといいます。

■よく噛めるようになると味覚も発達

噛み方は練習で改善することができます。まず、簡単なポイントはきちんと口を閉じて食べること。これだけで、前の方の歯だけでなくしっかり奥歯まで使って咀嚼でき、口周りの筋肉が大きく動きます。またひと口ごとの噛む回数を気にすることも大切ですが、口に運ぶ量を少なくすることで噛む回数をかせぐ方法もあります。よく噛めるようになると、食材がより細かくなりしっかり味わえるようになるため、味覚にも影響し、味の嗜好も育ちます。子どもが口いっぱいに食べ物をほお張る姿は、「おいしく食べてくれてるんだなぁ」とうれしくなるものですが、よく噛むことは子どもの成長を担う大切な習慣の一つ。向かい合って食べられるときは、ぜひ子どもの食べ方を気にして見てください。

【関連記事】人生に健康と幸せをもたらす「噛むこと」の大切さ

*メディプラス研究所「ココロの体力測定2018」n=20代男性:11039人、20代女性:15433人

取材・執筆:オフラボSTAFF 監修:噛むこと研究室

噛むこと研究室

株式会社ロッテ
1948年の創業以来ガムをつくり続け、“噛むこと”に取り組んできた株式会社ロッテが発足した「噛むこと研究室」では、さまざまな研究機関や企業と連携し、最適な“噛む”を提供することで、社会に貢献。 “噛むこと”で認知症に備える、アスリートのパフォーマンス向上に貢献するなどを目指し、研究・活動に取り組んでいる

関連記事