日中こもった熱で、部屋の中もベッドの中もどんより暑い……。最高の安息になるはずの睡眠時間が、苦痛になってしまうなんて、もったいない! 何とかしたい夏の睡眠問題、ストレスオフなヒントをご紹介します。
■暑さに自律神経がおびやかされる夏こそ質のいい睡眠が大切
今年も夏がやってきました。ストレスにはさまざまな要因がありますが、「暑さ」も立派な(?)ストレスに。自律神経機能の乱れを引き起こし、さまざまな不調を生み出しますが、その一つが不眠です。日常生活の工夫でストレスに対する予防はできますが、ストレスを受けて疲労してしまった心身を回復するためには睡眠が欠かせません。日々のストレスだけでなく、暑さストレスも加わる夏は特に、朝快適に目覚められる“ぐっすり睡眠”が大切。ポイントは、就寝前の時間の使い方、そして“温める”と“冷やす”の上手な使い分けです。
■ストレスオフヒント① 就寝2~3時間前までに夕食を済ませる
東洋医学では「脾は湿を嫌い、燥を好む」と言われます。「脾(ひ)」とは消化器官全体のこと。日本の夏は湿度が高く胃腸をはじめとする消化器官の働きが乱れやすくなるため、不調を感じたり、食欲が落ちたりすると考えられています。寝る直前に夕食を摂ってしまうと、睡眠中も消化器官はフル稼働しなくてはならずさらに負担がかかります。「体を休める」というと、わかりやすく疲労を感じる筋肉などを意識しがちですが、内臓までも含めて自分。体の隅々まで休める意識を持って、就寝2~3時間前までには夕食を済ませましょう。オフラボの「ココロの体力測定2018」でも、低ストレス女性は、高ストレス女性に比べ「夕食は寝る2時間以上前に食べ終わっている」意識の高さが見られます*。
女性・ストレスレベル別 食べ方比較
また、暑さで冷たいものを摂り過ぎることも機能の低下を招く原因になります。だから、夏の夕食こそ、温かいおみそ汁を。味噌をはじめとする発酵食品には体を温めるものが多く、特に物理的に温かいおみそ汁には高い温熱効果も期待できます。
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■ストレスオフヒント② 就寝1時間~1時間半前までに入浴して体を温める
私たちの体は「体温リズム」を持っています。朝の4時から5時ごろにもっとも内臓の温度である深部体温(以下、体温)が下がり、徐々に上がって夜の6から8時ごろピークに。その後また明け方に向かって下降していきます。つまり、眠っている時間は、体温が下がっている時間ということ。言い方を変えれば「体温が下がると眠気を感じる」ようにできているのです。
人の体温リズム
そのため、考えたいのは「いかに入眠前に上手に体温を下げるか」ということ。そこで活用したいのがお風呂です。湯船に浸かると一時的に体温は上がりますが、その後徐々に下がっていきます。その波にうまく乗るように入眠のタイミングを持ってくるには、ベッドに入る1時間~1時間半前に入浴を済ませてクールダウンすること。また熱いお湯で体温が上がり過ぎるとかって寝付けなくなるため、湯温はリラックス湯温の39℃よりややぬるめの37~38℃程度に設定し、10~15分間を目安に浸かりましょう。
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■ストレスオフヒント③ 就寝1時間前に寝室を冷やす
ストレスオフヒント②でお話したように、ヒトには体温リズムがあり、質のいい睡眠の鍵は深部体温を下げることにあります。しかしだからといって体を直接冷やしてはいけません。表面が冷えると鳥肌で蓄熱し、逆に深部体温が上がってしまうためです。
実践したいのは、就寝1時間前に掛け布団や枕を裏返してベッドを露出させ、エアコンで寝室・寝具を冷やしておく方法です。
昼間の日射によって寝室の建材やベッドの中には熱がこもっています。その熱と湿度を取り、寝具を冷んやり&さらっとした状態にしておきます。そして入浴後のリラックスタイムを過ごしてから寝室に入ると、放熱するためにかいた汗がすみやかに寝具に吸い取られ、深部体温を一気に下げることができます。
食事も入浴も、そして暑さ対策も。毎日何気なく行っている行動ですが、タイミングと温・冷をちょっと意識するだけで、夏の睡眠がぐんと快適に変わるかもしれません。寝苦しい夜とさよならするために、ぜひ実践してみてください。
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*メディプラス研究所「ココロの体力測定2018」n=高ストレス者:522人、低ストレス者:370人
執筆・監修:オフラボSTAFF