更年期だけじゃない、睡眠中のほてり症状が20代女性にも

就寝時にほてりを感じて寝付けなかったり、睡眠中に寝汗で途中で起きてしまったり、そんな経験はありませんか? 原因にはさまざまなことが考えられますが、鍵を握っているのは、自律神経機能です。ホルモンバランスの乱れ、日々のストレス、そして夏の暑さも自律神経に影響し、体温調節機能を狂わせます。

■女性を悩ませる就寝時の体のほてり

年齢を問わず、女性は月経周期により、生理前の高温期になると「ほてりを感じて眠れない」という症状を感じる人が少なくないようです。また40~50代になると更年期障害としてより重い症状を感じることもあります。更年期障害に関しては、近年、男性にも起こることが知られるようになっていますね。
オフラボが全国7万人の成人女性に行った「ココロの体力測定2019」の調査項目から「就寝時に体がほてり眠れないことがあるか」に注目し、女性の“節目年齢”と言われる7の倍数の年齢の女性の結果を抽出したところ、21歳の5.2%をピークに、年齢とともに割合は減少。意外にも、若年層がもっとも就寝中のほてりを感じていました*。70歳で微増しているのは、高齢になると体温調節機能が鈍くなることが原因の一つと考えられます。

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女性・節目年齢別 就寝時の体のほてり症状割合

■ホルモンや自律神経機能の乱れが体温調節機能を狂わせる理由

体温調節は、体のさまざまな働きの司令塔である自律神経がつかさどっています。体温が上がり過ぎると交感神経が活発になり、発汗を促すことで体温を下げる、夕方以降は副交感神経が活発になり、体温を上昇させて入眠しやすくするなど24時間休みなく働き続けていますが、自律神経機能はさまざまなことに影響を受けます。
実は、ホルモンバランスもその一つ。「自律神経系」「内分泌系(ホルモン系)」そして「免疫系」はヒトの体の内部環境を一定の状態に保つために備わっているホメオスタシス(生体恒常性)の三大システムであり互いに関連し合っているため、ホルモンバランスの乱れが生じると自律神経系にも影響し、体温調節機能が乱れます。

ホメオスタシスのための三大システム

■20代女性のほてり症状とデジタルストレスに関連が?

自律神経機能に影響を及ぼす要因として、もう一つ忘れてはならないのがストレスです。先ほどと同じ「就寝時に体がほてり眠れないことがあるか」をストレスレベル別でみると、割合は少ないものの、低ストレス女性が0.3%だったのに対し高ストレス女性は9.3%と実に31.4倍と、ストレスと体温調節機能乱れの関連が示唆される結果となりました。

女性・ストレスレベル別 就寝時の体のほてり症状割合

年齢別の結果では意外なことに20代がもっとも就寝時のほてりを感じていましたが、ストレスの影響を鑑みるならば、まっ先に思い当たるのがデジタルストレスです。
オフラボの2018年の「ココロの体力測定」調査で各年代のデジタル依存傾向をまとめたところ、高ストレス者と低ストレス者の割合が逆転する境である「インターネット3時間」「SNS使用30分」という使用時間において、20~24歳のSNS利用は半数を超え、25~29歳も4割以上となりました。

女性・年代別 1日のネット使用時間3時間以上/SNS使用30分以上

20代女性の就寝時のほてり症状とデジタルストレスの関連については明らかになっていませんが、ストレスが自律神経に影響し、自律神経が体温調節機能をつかさどっていることは間違いありません。またホメオスタシスの視点で考えると、ホルモンバランスに乱れが生じた際にストレスで自律神経機能が乱れていれば、その影響はより大きくなると言えるでしょう。
これから本格的な夏がやってきます。日頃から就寝時や睡眠中のほてりに悩まされている人にはよりつらい季節ですが、外的ストレスである暑さ対策や、月経周期で不調な時は無理をしないなど、できることから心がけてみてはいかがでしょうか。

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*メディプラス研究所「ココロの体力測定2019」n=女性7万人(高ストレス者:10939人、低ストレス者:6181人、21歳:883人、28歳:5416人、35歳:4022人、42歳:4860人、49歳:4859人、56歳:3728人、63歳:5259人、70歳:1059人)※各節目年齢は前後1歳を含む

執筆・監修:オフラボ

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オフラボSTAFF

オフラボ(ストレスオフラボ)は、“ココロの体力”が低下している日本人の心の状態を可視化し、脳科学者などの専門家や他社企業と共同で、エビデンスに基づいてストレスと体や肌を調査・研究するプロジェクトです。ストレスオフに役立つさまざまな情報をウェブサイトで発信しています。

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