オフラボでは「自分の時間・空間=自間」の使い方、すなわち自分ペースのコントロールがストレスオフの鍵であると考え、ペースマネジメントの方法をご紹介しています。今回のテーマは、看護師や介護士、SE(システムエンジニア)など、自間が乱れがちな、女性シフトワーカーのためのペースマネジメント。ベスリクリニック睡眠外来の菅原洋平先生にうかがいました。
■自分ペースのペースマネジメント法を見つけよう
あなたは、自分のシフトをうまくこなすために、どんな工夫をしていますか?自分なりに編み出した方法と、脳と体の仕組みとを照らし合わせてみると、あなたにぴったりのペースマネジメントが見つかるはずです。
■起床を準備するコルチゾールの分泌時間を意識する
もしあなたが、夜勤入りの日はギリギリまで眠っているとします。「できるだけ睡眠時間を確保して体を休めないと」と努力している人もいるでしょう。夜勤入りの日は、ギリギリまで眠ることでうまく疲れがとれていますか?もしかしたら、途中で目覚めてはまた眠ることを繰り返し、頭が痛くなったり、体がだるくなっていませんか?
人間の睡眠は、起きる時間の3時間前から血圧や血糖値を高めて起床準備をするコルチゾールが分泌されます。このコルチゾールは、時間によってその分泌が決まるホルモンです。いつも日勤の日に6時に起きている人は、夜中の3時から分泌が始まり6時にピークになり、その後急激に低下するリズムがつくられています。
ところが夜勤入りの日に昼過ぎまで眠っていると、6時のピークは低くなり、その後も分泌が残っていて、
最終的に起床した時間に急分泌されます。コルチゾールが急激に分泌されると、イライラしたり、やる気がなくなってしまいます。
■平日・休日の起床時間差を3時間以内に
これは実験データではありませんが、シフトワークの現場で睡眠の記録を見ると、日勤と夜勤入りや休日の起床時間の差が、3時間以内の人はメンタルの不調はなく元気です。逆に、欠勤が多かったり疲れている人は、起床時間の差が3時間以上の傾向があります。
コルチゾールは、時間によって分泌が決まるので、いつも同じ時間に目覚めていれば、いつもその3時間前から規則的に分泌されます。シフトワーカーには難しいですが、脳や体へのダメージを少なくするためにも、起床時間の差を3時間以内にすることを目標にしてみましょう。例えば、日勤のときに6時起床の生活だったら、夜勤入りの日や休日は、9時までには一旦起きてみましょう。寝不足な感じがあったら、その後仮眠をしても大丈夫です。
「せっかく休みなのに起きて活用しなければいけないの?」と考える必要はありません。ただ機械的に起床時間の差を3時間以内にして、後は仮眠をしてもゴロゴロしていても自由です。起床時間の差が少なくなると、午前中のだるさが少なくなってきて自然に動きたくなってくるはずです。脳と体が自然に変わってくるのを楽しみに、淡々と起床時間の差を縮めるペースマネジメントを実行してみましょう。
執筆・監修:菅原洋平