親しい人と「触れ合う」「話す」。オキシトシンを意識して、ストレスオフな体質作りを

ストレスオフな毎日を送るための心構え。意識すべきは、愛情ホルモンと呼ばれる「オキシトシン」的な行動です。便利で効率的なデジタル生活の快適さはキープしつつ、親しい人との触れ合いの時間の大切さ、見直してみませんか?

■20代に深刻なデジタル依存症

老若男女を問わず、今や現代人の暮らしに欠かせないものとなっているデジタル環境。電話や手紙のやり取りはメールに取って代わり、いつでも好きな時に欲しいものが手に入るオンラインショッピングは、実店舗をしのぐ勢い。人類に大いなる利便性をもたらしましたが、その一方で急速に失われつつあるものがあります。人と人とのつながりや触れ合いです。

アルコール、ギャンブル、買い物、スマホなどの依存症に関するオフラボの調査によると、20代の高ストレス女性や、接客業をはじめとする奉仕的な職業に就く女性たちにデジタル系依存症者の含有率が高いことわかりました。親しい人とのスキンシップや顔を合わせて話をするといった親密なコミュニケーションが減少すると、人の心は病みやすくなるのです。理由は、脳内物質「オキシトシン」の分泌の減少です。

■愛情ホルモンのオキシトシンがストレス物質を抑制

オキシトシンはストレス中枢を鎮静化し、ストレス物質のコルチゾールの分泌を抑制する働きがある脳内物質です。そもそもは乳汁(母乳)の分泌を促す女性特有のホルモンであるとされていましたが、近年の測定技術の進歩により、子どもを持たない女性や、男性の脳でも分泌されることが明らかになりました。

■親しい人との触れ合いがストレスオフの鍵に

顔を見合わせてのコミュニケーションが希薄になっている今、オキシトシンの分泌はスムーズに行われなくなっており、積極的に促す必要があると考えられます。私は「オキシトシン的行動」と呼んでいますが、家族や友人など、親しい人との触れ合いの大切さを見直す時代がやってきているのではないでしょうか。

執筆・監修:有田秀穂

有田秀穂

東邦大学名誉教授・医学博士
東邦大学医学部総合生理学で、坐禅とセロトニン神経・前頭前野について研究。各界から注目を集めるセロトニン研究の第一人者。メンタルヘルスケアをマネジメントする「セロトニンDojo」代表。オフラボ顧問。著書『脳からストレスをスッキリ消す事典』(PHPビジュアル実用BOOKS)他多数。

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