ストレスによって引き起こされる心身の不調。頭痛、疲労感、食欲不振などさまざまなことが挙げられますが、近年「発熱」症状としても現れることがわかりました。それが「心因性発熱(ストレス性発熱)」です。風邪を疑い薬を飲んだり、病院に行っても一向に回復しない、そんな原因不明の熱の2割程度は心因性の原因だと言われます。
心因性発熱は、風邪やインフルエンザなどによるウィルス性の発熱とは異なります。脂肪を分解して熱を発生させる褐色脂肪細胞は、寒い時に活性化し体温を一定に保つために重要な働きを演じていますが、寒冷という環境ストレスだけではなく、心理的ストレスによって交感神経が亢進することでも熱産生が上昇します。これが心因性発熱に大きく関与していると考えられています。
「ストレスでかっとなる」は例えではなく実際に体内で体温上昇が起こっているわけで、一過性のことなら問題はありません。しかし慢性的にストレスにさらされ続けたり、強いストレスを何度も繰り返し受けると、体の適応力が過度に高まって発熱しやすくなります。ちょっとしたストレスでも体温が上がり、それが常態化する=常に微熱や高熱状態にあり、不調に陥る。これが心因性発熱の正体なのです。
風邪熱と心因性発熱の違い
出典:小学保健ニュースNo.1016付録「かぜをひいたときの発熱と心因性発熱(ストレス性高温)の違い」少年写真新聞社より一部改変。
監修:オフラボSTAFF