一日の疲れや汚れをさっぱりと洗い流すお風呂。湯船に浸からずシャワーだけ、入浴剤を使う派・使わない派など、それぞれお気に入りの入浴法があるのではないでしょうか。今回は、そんなルーティンにプラス・ワン。お風呂博士としても広く活躍する株式会社バスクリンの広報担当・石川泰弘さんがおしえてくれた、お風呂がもっとストレスオフになる豆知識をご紹介します。
■スマホ断ちにもぴったり!?足浴ならぬ「手浴」のススメ
寒い冬の夜に眠る前など、自宅で足浴(足湯)している人もいるのではないでしょうか。でも、意外と冷めるのが早かったり、何しろたくさんのお湯を運ぶのが大変だったり……。そこでおすすめなのが、気軽にできる「手浴」です。「手を浸けるだけで暖かくなるの?」ちょっと半信半疑ですよね。でも、ちゃんと理由があります。手は足よりも心臓に近いため、温まった血液が早く心臓に届き、体中を巡って早く体を温めてくれます。実際に、ちょっと熱めの42℃のお湯に20分間手足を浸けた実験では、足浴よりも手浴の方が早く体温が上がっているという結果が得られています。
出典:「手浴と足浴の温まり感の違い」株式会社バスクリン
手首までしっかり浸けるのもポイントです。「体で“首”とつく部分は冷やすべからず」といいますが、それは皮膚の下にすぐ動脈があるため外気温の影響を受けやすいから。逆にいえば熱が伝わりやすいということ、温まった血液が身体を循環することで、冷えを遠ざけることができるのです。
手が使えないと不便と思うかもしれません。でもスマホをいじっていると、20分間なんてあっという間に経ってしまうもの。オフラボの調査では、デジタル依存がストレスオフの大敵であるというデータもあります。例えば週に1度、20分間の手浴の間はスマホ断ちの時間にしてみるなど、スローな時間を意識するきっかけにしてみるのもいいかもしれません。
【関連記事】20代女性の“デジタル依存症”が深刻に。仕事別では「奉仕する職業」で依存度が高い傾向
■お家にあるのは薬用入浴剤?浴用化粧品?それとも雑貨?
お家に入浴剤のある方は、取りに行って表示を見てみてください。「医薬部外品」「浴用化粧品」と書いてありませんか? もしくは何も書いていないか……何も書いていないものは「雑貨」になります。ドラッグストアの入浴剤コーナーに並んでいるものはこの3種類に分類されており、医薬部外品と浴用化粧品は厚生労働省が管掌する「薬機法(医薬品医療機器等法)」に基づいて製造されている「入浴剤」。基本の考え方は「湯の温浴効果及び清浄効果を高めた結果、商品に記載されている効果が期待できるもの」であり、香りや色を楽しむ雑品(雑貨)はこの範囲になく、「入浴剤」と表記することはできません。ここでは2種の入浴剤の違いを見ていきましょう。
▼薬用入浴剤(医薬部外品)
薬機法において「人体に対する作用が緩和であること」とされている薬用入浴剤。女性は、美白化粧品などでおなじみの「医学部外品」といった方がなじみがあるかもしれませんね。有効成分が決められた量(例えば無機塩類であれば70%)配合されており、「あせも・荒れ性・肩のこり・うちみ・くじき・神経痛・湿疹・しもやけ・痔・冷え性・腰痛・リウマチ・疲労回復・ひび・あかぎれ・産前産後の冷え性・にきび」が効能または効果の範囲とされています。製品ごとに厚労省の審査を受け、認可されなければ発売できません。
▼浴用化粧品
浴用化粧品が表示できるのは「汚れを落として肌を清浄にする」「肌にうるおいを与える」など、化粧品の効能の範囲に限定されます。身体のつらい症状の緩和が目的ならば薬用入浴剤を。肌を保湿したいだけなら浴用化粧品、香りを楽しみたいだけなら雑品でも。目的によって使い分けができれば、お風呂ライフはもっと豊かに。薬用入浴剤は成分などで効果効能がさらに細かく分類されますが、それについてまたの機会にご紹介します。
■入浴後のスキンケアは10分以内が勝負
お風呂で気持ちよく温まった後。浴室から出てすることといえば、体を拭いて、パジャマや服を着て、女性ならドライヤーで髪を乾かさなくてはなりませんね。と、ちょっと待って! その前にしたいこと、それがスキンケアです。下のグラフを見てください。湯温の違いに関わらず、入浴後10分から急激に角層の水分量が失われていくことがわかります。さらに時間が経過すると、湯温42℃よりも、38℃のほうが水分量の減少が抑制されていることから、お肌のためにもリラックス湯温で入浴し、入浴後は10分以内に化粧水や乳液、ボディローションでスキンケアしたいものですね。
【関連記事】ニッポン人の心身のオアシス!お風呂の基礎知識
取材・執筆:オフラボSTAFF 監修:石川泰弘