今年は猛暑!ぼーっとした脳をシャキッとさせる就寝1時間前の準備&“頭冷足温”

盛夏を迎える前から続く連日の猛暑で、体は疲れ、頭はぼーっと……。脳の細胞は温度の変化に弱いので、体の温度調節が追いつかないほど暑い日が続くと、体が疲れるだけではなく頭も働かなくなってしまうのです。そこで暑い夏でもしっかり頭を働かせるコツを、オフラボ連載でもおなじみの菅原洋平先生にうかがいました。

■体の放熱を促して、睡眠中に「深部体温」をしっかり下げる

脳の温度である深部体温は、起床から11時間後の夕方あたりに最高になり、起床22時間後の明け方に最低になります。猛暑が続くとこの体温のリズムが乱れて睡眠中にも深部体温が下がらなくなります。脳が冷却されるはずの睡眠中にしっかり深部体温を下げることは、私たちの脳をダメージから守るのにとても大切です。

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しかし深部体温を“下げる”といっても体を冷やしてはいけません。人間の体温には普段体温計で測る表面体温と、脳や内臓の温度である深部体温があります。表面が暑くなると汗をかいて放熱し、深部体温が下がります。表面が冷えると鳥肌で蓄熱し、深部体温が上がります。夏の暑さから脳の守るためには、「体の放熱を促すこと」が大切なのです。

■就寝1時間から寝室を冷やして睡眠の質をUP

そこでまずは、就寝1時間前にタオルケットや枕を裏返してベッドを露出させ、寝室を冷やしておきましょう。昼間の日射によって寝室の建材、ベッドと枕やタオルケットの間に熱がこもっているので、その熱と湿度をとり、寝具を冷んやりさらっとした状態にします。そしてシャワーや入浴でリラックスする時間を過ごしてから寝室に入ると、放熱するためにかいた汗がすみやかに寝具に吸いとられ、深部体温が一気に下がります。

そんな準備をしないで就寝時にエアコンをつけると、体の表面だけが冷えてしまい、深部体温は逆に上昇。睡眠の質が悪くなるので、就寝1時間前の準備をぜひ毎日の習慣にしてみてください。

■就寝時は、“頭冷足温”でさらに眠りを快適に

さらに眠りはじめに深部体温が下がるようにサポートする方法があります。就寝するときに保冷剤や冷凍タオルを使って耳から上の頭を冷やして眠ってみましょう。タオルを霧吹きで軽く湿らせて冷凍すると、冷凍タオルをつくることができます。これを枕の上の方に敷いて耳から上の頭を冷やします。ここには大脳があり、温度が下がると睡眠が深くなるため、脳の細胞をダメージから守ることができます。ただし、耳から下の首の部分を冷やすと目が覚めてしまうので、あくまでも耳から上だけを冷やすこと。

また足首が温まり、足の裏から汗で放熱すると深部体温は下がります。眠る前にレンジでチンしてホットタオルをつくり、足の裏や指の間をふき取ります。高熱時に清拭すると熱が逃がされて体がラクになる経験がある人も多いと思いますが、それと同様の作用を使って深部体温を下げます。さあ、体がストレスオフする働きを助けて、暑い夏を乗り切りましょう!

執筆・監修:菅原洋平

菅原洋平

菅原洋平Yohei Sugawara

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作業療法士・ユークロニア株式会社 代表 / ベスリクリニック睡眠外来担当
国際医療福祉大学卒業後、作業療法士免許を取得。国立病院機構で脳のリハビリに従事後、睡眠改善をもとにした健康や人材開発のコンサルティングを行なうユークロニア(株)を設立。ベスリクリニック(東京都千代田区)で臨床も行っている。著書『脳にいい24時間の使い方』(フォレスト出版)他多数。雑誌、テレビでも注目を集める。

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