企業取材

健康の第三軸「休養」にリカバリーウェアで貢献するベネクスの挑戦

運動や日常生活の活動中のパフォーマンスを向上させるため、疲労を効率よく“回復”させることを目的とした「リカバリーウェア」を展開している株式会社ベネクス。“睡眠の質”ならぬ、“休みの質”に着目し、大学をはじめとする研究機関と共同で「休養」の大切さを世に広め、プロアスリートたちはもちろん、現代の忙しい人々のストレスオフをサポートしています。

■毎日をアクティブに過ごすために。意識したいのは休養の質

アスリートたちが試合で最高のパフォーマンスを発揮するためにしていることといえば? まっ先に思いつくのが、たゆまぬトレーニングでしょう。しかし、時にトレーニングのし過ぎが結果を出しにくくしているという事実。疲労から回復していないままトレーニングを重ね、疲れが残った状態で試合に臨んでいるため結果が出ない。結果が出ないため、またトレーニングし……この状態、アスリートだけではありません。仕事や家事、子育てなどで毎日目が回るように忙しく、その疲れが取れないままに毎日を過ごしているという人、多いのではないでしょうか。そんな中、注目を集めているのがパフォーマンスを向上させるための積極的な「休養」です。

「運動」「食事」と共に健康3要素の一つとして知られる休養、“ただ休めばいいわけじゃない”と言われはじめたのは、働き方意識や睡眠の質などが注目を集めるようになった近年のことですが、株式会社ベネクス(以下、ベネクス)では13年も前からその重要性に着目。トレーニング中ではなく、トレーニング後に着ることで心身の回復を促す「リカバリーウェア」で、量だけでなく質を重視した休養の啓蒙に取り組んでいます。

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■疲労回復の鍵は自律神経にあり。特許繊維PHTの効果を研究機関と共同で実証

ベネクスのリカバリーウェアは、これまで日本にはなかった、休養への積極的なアプローチという新しさだけではありません。売上累計70万枚以上の実績の裏側にあるのは、ナノプラチナをはじめとする鉱物を繊維1本1本に練り込んだ特許繊維PHT(Platinum Harmonized Technology)の開発と、実証してきた科学的根拠の数々です。国内外の15以上の大学や研究機関と共同で、免疫、筋肉、血流などさまざまな観点からPHTの効果についての研究を行っていますが、その一つである自律神経の実験データをご紹介しましょう。

唾液中モノグラニンAの変化値

[出典]ナノプラチナ及びナノダイヤモンドを使用したハイブリッド(DPV576-F)素材製ベッドパットよるストレス軽減効果, 医学と生物, 第154巻, 第2号(2010)

PHTは「体本来の回復機能を最大限発揮させる」ことを目的に、神奈川産業振興センター、東海大学とベネクスの産学公連携で誕生した機能性繊維です。開発の際の着眼点の一つが、疲労と密接な自律神経へのアプローチ。近年の研究により、疲労回復には自律神経のバランスを整えることが有効であることがわかっていますが、PHTはリラックス状態で働く副交感神経に作用することが、東海大学らとの研究で明らかになりました。成人男女15人に対して暗算課題を実施後、対象品とPHTを使用した素材DPV576で作ったベッドパッドに20分間横になってもらったところ、DPV576の効果で、唾液中に含まれるストレス物質・モノグラニンAの量が減少するという結果が得られています。

■リカバリーウェアが介護の現場をストレスオフに

ところで、ベネクスの誕生の発端は、意外な場所での気づきでした。介護施設です。 体を思うように動かすことのできない高齢者の床ずれは、代謝の低下や血行不良などが原因の一つです。しかし15年前は、今よりさらに介護士が不足しており、寝返りの補助は満足に行き届かないことも。そこで、人手に頼らず床ずれを改善できる手立てはないかとアプローチを模索し、たどり着いたのが、筋肉の緊張をほぐして血流の速さを向上させるPHTの開発、そしてPHTを使ったマットレスの商品化でした。しかし介護施設にとってはマットレスは高額で、何台も導入するには負担が大きく、また心身の疲労がいちじるしい介護士のためのTシャツも作りましたが、介護士の疲労も現在ほど問題視されておらず、残念ながら当時は浸透しませんでした。しかし、オフラボが2017年に行った調査でこんな結果が出ています。

「福祉ワーカー」と「その他女性有識者」の職場のストレス比較

看護師・介護士・保育士女性のストレスについて分析したところ、介護士の高ストレス者割合は、20.2%と女性全体の16.2%を大きく上回る結果に。「肉体的・体力的な負担」を感じている介護士は65%おり、「慢性的な人手不足」に関しては74.8%にものぼりました。ベネクスの挑戦から15年が経ち、介護の現場の疲労やストレスの可視化が、ようやく進みはじめているのです。

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心身の疲労を抱えやすい職業の人たちが自身の疲労を認識し、効率的に回復できる手立てを知識を身につけることは、高ストレス者割合を減少させる一助になることでしょう。「休養」や「回復」意識は、まだまだ根付いていく途上です。オフラボでは介護士を含むシフトワーカーのストレスを大きな課題としていますが、広く一般も含めて、今後もストレスオフに導く「休み方」についての情報を発信していきます。

取材・執筆:オフラボ 監修:ベネクス / オフラボ