心も体もホッとするストレスオフな食生活とは?

毎日誰でも欠かさない生活習慣といえば「食事」。でも、その食事が「ストレスのもと」になってしまっている人が多い、と指摘するのは管理栄養士として4万人以上栄養指導経験のある柏原ゆきよ先生です。「何を食べるか、という中身を気にするよりも前に、食事そのものとの向き合い方を見直してほしい」と言います。今回は、私たちが日々心がけるべき、健やかな心と体を保つための“ストレスオフな食生活の基本について教えていただきました。

■「食べること」そのものをストレスに感じていない?

世の中にあふれる食に関する情報を見渡してみると、「◯◯は食べ過ぎてはいけない」「~はカットすべし」といった“制限”を促す言葉が多いことに気づきます。あるいは、食べることそのものでさえ、「食べたら太る」といったネガティブなイメージで語られることが少なくありません。特にダイエットに関心がある若い女性たちは、そういった情報に敏感に反応します。

でも、冷静に考えてみてください。そもそも私たちは、なんのために食べるのでしょうか? 太るために食べるのではありません。生きるために食べるのです。
「食べたい」という欲求は生き物として当然の欲求。「おいしいものをたくさん食べたい」と思えることや、「おいしかった!」と満足できることは健康の印ですし、本来は喜ぶべき素晴らしいことであるはず。食べたい時に食べ物がある環境にも感謝の気持ちを持てたら、それだけで幸せを感じられませんか?

■砂糖にもいいところはある

もちろん、砂糖をたくさん摂り過ぎたら体にはよくありません。でも、適量であれば、私たちの活動に必要なエネルギー源として優れた働きをするものですし、「甘さ」というのは幸福感を与えてくれる味覚でもあります。つまり、考え方次第で、ものごとはネガティブにもポジティブにも捉えられるもの。毎日の食事を「制限すべきもの」と考えると、それだけでちょっと疲れてしまいますよね。

「また食べちゃった!」という罪悪感がストレスになって、さらに食べ過ぎてしまったり、本来は体が欲していないものに手が伸びてしまう。そうなると食をますます楽しめなくなり、悪循環に陥ります。まずは「食べること」そのものを前向きにとらえようとする意識転換がとても大事です。

■胃腸の機能を目覚めさせる、食のチカラ

食べることは人生の楽しみであり、健康に欠かせないもの。単に栄養素をとるだけならサプリメントの摂取だけで十分ですが「食べ物を口に入れてそしゃくし、内臓を動かす」という行為がとても大事。胃腸を動かし、消化吸収に必要なさまざまな酵素やホルモンの分泌、代謝といった働きを呼び起こすことによって、体の機能を高めてくれます。

消化吸収機能がしっかりと働けば、必要な栄養を取り込めて、不要なものは排出できる体に。結果、太りにくく、疲れにくい体になって、不調を遠ざけてくれます。そして、本来、体が求めている栄養をしっかりとれる食事ができていれば、余計なものは欲しくなりません。だから、どう食べるか、何を食べるかがとても重要。ストレスオフな体質作りに効果的な食事内容については、またあらためて詳しくお話ししますね。

取材・執筆:宮本恵理子 監修:柏原ゆきよ

柏原ゆきよ

柏原ゆきよYukiyo Kashiwabara

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管理栄養士 / 一般社団法人日本健康食育協会代表理事
4万人以上の食サポートの経験から、日本人の体質とライフスタイルに着目し、お米(雑穀米)を主軸に「しっかり食べて太らないカラダづくり」を目指す独自のメソッドを確立。認定資格講座「健康食育マスター講座」を主宰し、食育分野の人材育成に注力。著書『食べて飲んでおなかからやせる』(かんき出版)他多数。

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