毎日遊びに夢中で、いっこうに夏休みの宿題に手をつけようとしない子どもたち……。そんなママのイライラ回避&子どもたちも夏の思い出が楽しいものでいっぱいになるように、睡眠のエキスパートであり、作業療法士として数多くの著書を持つ菅原洋平先生に、宿題がサクサク進む脳の使い方についておしえていただきました。
■宿題を先延ばしにしてしまうのはなぜ?
夏休みは、子どもが自分をコントロールできるようになる絶好のチャンスです。宿題を先延ばししてしまうのは、性格や能力のせいではありません。脳の使い方がその“仕組み”に合っていないだけです。次の3つの脳の仕組みを使いこなせば、宿題をサクサク終わらせることができます。
■勉強机=勉強する場所、“それ”しかしない場所をつくる
私たちの脳は、場所と行為を二つセットで記憶します。例えば勉強机でゲームをすると、脳はそこはゲームをする場所だと記憶し、勉強机に向かうときから、できるだけ速やかにゲームができるように準備して臨んでしまいます。すると「集中できないからまずゲームでテンション上げよう」という発想が浮かぶことに。これは本人の意思の問題ではなく、脳に間違った記憶をさせたことが原因です。そこで、脳が混乱しないように“それ”しかしない場所をつくってみましょう。
勉強机では勉強しかしない。途中でお菓子を食べたくなったら机とは別の場所で食べて、何も持たずに勉強机に戻る。ゲームをしたくなったら、席を離れてゲームをする。こうすることで、脳は「勉強机=勉強する場所」と記憶するので、席に着けばすんなり勉強を始められます。
■「脳の時間割」に合わせて、脳が集中する時間に勉強する
脳には時間帯によって分泌されるホルモンや脳波活動、体温の変化が決まっています。「脳の時間割」に合わせれば、すんなり宿題に取り組めます。
脳は睡眠中にいらない記憶を消去するので、目覚めた直後がスッキリしています。試しに朝目覚めていきなり勉強机に座り宿題をやってみると、びっくりするほどすぐ終わるはずです。そして意外に思うかもしれませんが、朝に前日の日記を書くとすんなり書けます。1日で一番頭が良いのは起床4時間後、大抵午前10時ごろです。自由研究や集中して作業したいときはこの時間が最適です。
昼過ぎには脳は働かなくなるので、この時間に宿題をやることは避けましょう。夕方は涼しくなりますし、また体温が最高になり体が良く動くので、この時間はできるだけ外で遊んだり体を動かす時間に。夜は頭が働かないので宿題は避ける。というよりも、このスケジュールならば夜に取り組む必要はありませんね。
■「疲れたー」と休む前に1行でも手をつけて、行動の“区切り”を変える
脳は、行動に区切りをつけて記憶し、その記憶をもとに次の行動を命令します。例えば、遊びから帰ってきて「疲れたー」と休む。ここが行動の区切りになると、次の宿題に移るために脳は新しく行動を命令しなければなりません。脳にとってはこれが負担なので、私たちは「面倒くさい」と感じるのです。
そこで、外から帰ってきたらほんの1行だけでいいので宿題に手をつけさせてから「疲れたー」と休ませてみてください。すると、脳は次にどんな行動をするのか予測が立っているので、休み終えたらすんなりと勉強を始めることができます。
さあ、3つのポイントを押さえて、親子で楽しい夏休みを過ごしましょう!
執筆・監修:菅原洋平