“フリー”でも“発散”でもない、ストレスオフな生き方

これまで語られてきたストレスとの向き合い方と言えば、ストレスをなくす「ストレスフリー」や、一時にリリースする「ストレス発散」。しかし近年、ストレスについて解明が進むにつれて、「ストレスは悪者ではない」そんな事実がわかってきました。そこで注目されているのが、ストレスをマネジメントする「ストレスオフ」という考え方です。

■現代人とストレス

免疫学者のハンス・セリエ博士が、医学の世界に初めて「ストレス」という言葉や概念を持ち込んで今年で80年。以来、現代人たちがストレスと向き合う術が、さまざま有識者たちによって議論されてきました。

しかしながら特効薬のような画期的な解決策は生まれておらず、それどころか世の中が複雑化するにつれ、「ストレス性胃炎」や「ストレス性皮膚炎」といったストレスと名のつく病だけでなく、個々人の感覚的なメンタル不調を感じる人は増えるばかりです。

■ストレスは“敵”ではない

そんな体感はもちろん、世間でも「ストレスは敵である」という風潮が根強くありますが、こんな研究結果があります。2013年、カリフォルニア大学バークレー校の統合生物学准教授であるダニエラ・カウファーらのラットを使った実験で、適度なストレスは、脳内(とりわけに記憶力)に良い作用があることがわかったのです。

■自身でストレスをマネジメントする、ストレスオフの時代へ

ストレスを過剰に嫌って遠ざける、言わばストレスに免疫のない無菌状態でもなく、ストレスに支配されたアンコントローラブルな状態でもない。

現代の生活においてストレスを無にできるわけもなく、また前述のように適度なストレスは人を成長させるものです。そこで考えるべきは、長いライフタイムの中で、いかにストレスと向き合っていくか?

過度なストレスを受けた時には、ニュートラルな状態に戻す。集中を要するような場面では、心地よく緊張感を高める。自分自身でストレスをマネジメントできる「ストレスオフ」な生き方、これからの時代のストレスとの向き合い方の一つです。

参考文献
Researchers find out why some stress is good for you By Robert Sanders, Media relations, UC Berkeley April 16, 2013

執筆:オフラボSTAFF

オフラボSTAFF

オフラボ(ストレスオフラボ)は、“ココロの体力”が低下している日本人の心の状態を可視化し、脳科学者などの専門家や他社企業と共同で、エビデンスに基づいてストレスと体や肌を調査・研究するプロジェクトです。ストレスオフに役立つさまざまな情報をウェブサイトで発信しています。

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