「何度言っても言うことをきかないんだから……」ため息が止まらないお母さんたちへ。“叱る”以外の選択肢でなんとかしたいというのが切実な本音ですよね。毎日の暮らしに追われていると、頭を切り替えるのもなかなか難しいものですが、トレーナーとして多くの人材育成に携わる一般社団法人日本ナンバーワントレーナー協会・代表理事の中澤仁美さんに、ヒントになるアイデアをうかがいました。
■「子どもが言うことをきかない」はイライラの“原因”ではなく“きっかけ”
「脱いだ靴下は散らかさない!」「宿題は終わったの?」「早く起きなさい!!」などなど。お母さんVS子どもたちの戦い(?)は、子どものいる家庭の日常的な風景となっていることでしょう。でも、「本当はかわいい我が子を叱りたくなんかない」というのが、お母さんたちの本音。叱られた子どもがしょんぼりしてしまうのはもちろんですが、感情的に叱ってしまったお母さんだって、罪悪感や自己嫌悪にさいなまれているに違いありません。
そんな、いわゆる“自分に嫌気がさす”は大きなストレス状態であると言えますが、その原因は? 「相手を自分の思い通りにさせたい」「相手が自分の思い通りにならない」、という自分の状態ですよね。子どもが「○○しない」のはきっかけに過ぎず、そのストレスは、実は自分自身が引き起こしてしまっているのです。
■脱ぎ散らかしてしまう子どもにはバスケットゴール作戦!
それでは、子どもにはやるべきことを親としてきちんと教え、お母さん自身もストレスを溜めないためには? かっとなる前にいったん冷静になり、“脳内作戦会議”を開いてみてはいかがでしょうか。ミッションは、「すべきことを子どもにやらせること」。叱ってもやらないなら、さあどうするか。ゲームさながら、攻略法を考えるのです。一番簡単で子どもに効果的なのは、“遊び”にしてしまうことです。お子さんの好きなこと、得意なことはお母さんが一番よく知っているはず。それと結び付けて遊びを考えてみましょう。
運動好きな元気な子が脱いだ靴下をほったらかしにしてしまうなら、カゴを用意して「バスケットのゴール」作戦。シール集めをしている子が朝なかなか起きてこないなら、目覚ましのアラームが鳴り終わる前にお母さんにタッチできたらシールをあげる「スタンプカード」作戦など。うまくいかなかったら「作戦失敗!」とあきらめて、また違う作戦を立ててみればいいのです。ゲームなのですから!
■目指したいのは、お母さんが太陽のようなストレスオフ家族
最初に、「相手を自分の思い通りにさせたいから、自分の思い通りにならないからストレスを感じる」とお話しました。立てた作戦が成功したということは、イコール自分の思い通りになったということ。「やった!」とガッツポーズしたいくらいうれしい気持ちになるでしょう。叱ってしぶしぶやってくれたときよりも心に余裕も生まれて、子どもを抱きしめたくなればしめたものです。愛情ホルモンのオキシトシンが分泌されて、ますますストレスオフ効果は高まります。
お母さんは達成感が得られて、子どもは苦手だったことができるようになる。こんなウィン・ウィンの関係、ストレスが入り込む余地はありませんよね。お母さんが太陽のように明るく輝いている家庭は、家族みんながストレスオフな、ストレスオフ家族。考え方をちょっと変えて、毎日をハッピーに過ごせる工夫、してみませんか?
取材・執筆:オフラボSTAFF 監修:中澤仁美