話題のブーム食材の前に! 見直してほしい“和食の定番”

管理栄養士として4万人以上の食事サポート経験を持つ柏原ゆきよ先生によると、「食事をおいしく楽しむ食習慣こそ、ストレスオフ生活の基盤」。ダイエットのために食事の量を極端に減らすことはかえってストレスによる過食や不調を生んでしまうそう。大事なのは、心と体が本当に欲する食べ物をしっかり食べること。中でも柏原先生のイチオシは、日本人なら誰でもなじみのあるあの献立です。

■健康的な食事は、ごはんとおみそ汁から

ストレスオフな食生活を始めたい! でも、何を食べたらいいの? そんなふうに迷ったら、まず試してほしいのが「ごはん」をしっかりと食べる習慣です。
目新しい食材を試してみたくなったり、「ビタミンをたっぷりとろう」と野菜中心の食生活を心がけたり……。健康に対する感度が高い人ほど横に置きがちなのが、私たちの主食である「ごはん」の効用です。

人が活動するために必要とするメインのエネルギー源は炭水化物。ごはんはこの炭水化物を摂取するのに一番効率的な食材なのです。同じく炭水化物であるパンやパスタに比べてエネルギーの持続力があるので、脳や内臓、筋肉と、体の隅々までエネルギーを安定供給してくれます。特に、脳はエネルギーをとても消費する臓器。ごはんをほとんど食べない人は慢性的に脳がエネルギー不足におちいってしまいますので、将来の認知症リスクにもつながるとも言われています。

「ごはんは太りやすい」というのも誤解です。よくかんでゆっくり食べることで、糖の吸収が緩やかに。何より、体が「しっかりとエネルギーを補給できている」と安心するので、余計なものまで手が伸びないようになり、食べ過ぎを防げます。臓器にエネルギーが行き届くと臓器が働きやすくなるため、機能が上がり代謝がアップするというわけです。

■おすすめは雑穀入りごはん。おみそ汁は具だくさんで

大事なのは「おいしい」と味わうこと。日本人にとって「幸せを感じられる食事」の代表と言えば、やはりホカホカの白いごはんではないでしょうか。白米だけでもいいですし、さらに「よくかむ」ことを促進するためのひと工夫として“雑穀”を混ぜると、歯ごたえがプラスされます。ビタミンやミネラル、抗酸化成分も摂取できて一石二鳥! 雑穀を選ぶときは、粒が欠けたり割れたりしていないものを選びましょう。また、粒が水に浮くものは鮮度が落ちている可能性があります。鮮度がおいしさと健康効果の決め手です。
栄養バランスを補うために、ごはんとセットで積極的に食べたいのが「おみそ汁」です。雑穀ごはんは、炭水化物、ビタミン、ミネラル、食物繊維が摂取できます。あまり知られていませんが、たんぱく質も摂れる優秀食材なのです。さらに、おみそ汁の材料となる「味噌」に含まれる大豆由来のたんぱく質と一緒に摂ると、ごはん由来のたんぱく質はぐっとパワーアップし、体内での利用効率が高まります。

おみそ汁の具はできれば3種類ほど入れて具だくさんに。色の濃い野菜、海藻、キノコ類、卵など、冷蔵庫にあるもので日替わりでアレンジしてみましょう。おかずは少し控えめにして、雑穀ごはんと具だくさんのおみそ汁を、ゆっくりかんで味わって食べる。それだけで心と体が満足し、一週間ほど続けると体が元気になり、体の調子もよくなっていくのが実感できると思いますよ。

取材・執筆:宮本恵理子 監修:柏原ゆきよ

柏原ゆきよ

柏原ゆきよYukiyo Kashiwabara

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管理栄養士 / 一般社団法人日本健康食育協会代表理事
4万人以上の食サポートの経験から、日本人の体質とライフスタイルに着目し、お米(雑穀米)を主軸に「しっかり食べて太らないカラダづくり」を目指す独自のメソッドを確立。認定資格講座「健康食育マスター講座」を主宰し、食育分野の人材育成に注力。著書『食べて飲んでおなかからやせる』(かんき出版)他多数。

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