長い時間おうちにいると、ゆっくりしていることに罪悪感が芽生えて、つい「何かしなくちゃ」という気持ちになりませんか? でも、ビジーな現代人の脳や自律神経はいつもフル回転しています。たまには「何もしない」で、頭を休めることも必要。そんな時間、ストレスオフにはお気に入りの音楽と共に過ごすのもおすすめです。
■「聴く」「味わう」など五感を活用するストレスオフ
見(視)る・聴く・嗅ぐ・触る・味わう。私たちに備わっている「五感」は、生きるために重要というだけでなく、人生を素晴らしく豊かにしてくれるものでもあります。例えば、「味わう(味覚)」。食はまさに生きる糧ですが、味わいを楽しむ「グルメ」は、今や趣味の領域に。おいしいものを食べ歩くのが楽しみという人も多いでしょう。
近年はこういった感覚、あるいは感情を分析・可視化して人々の暮らしに役立てようという取り組みや研究も増えてきました。
オフラボでも、スマホの過剰使用による視覚ストレスや、ストレスオフに有効な愛情ホルモン・オキシトシンの分泌を高める“触れる”行為についてなどを「ココロの体力測定」調査から分析しています。
今回は「音楽を聴く」習慣についてまとめた内容をご紹介しましょう。
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■音楽を聴くことが習慣化している女性は53.6%
「ココロの体力測定2019」で全国7万人の女性(20~69歳)に「音楽を聴く習慣」についてきいたところ、「ある」と答えたのは53.6%、「ほとんどない」は46.4%と、ほぼ半々という結果に。「ある」と答えた人の割合を時間別で見ると、1日に「21~30分程度」が30.9%ともっとも多い割合でした。長時間ではないことから、通勤時間や夜眠る前のリラックスタイムなど、決まった時間に音楽を聴いている人が多いのかもしれませんね。
女性の音楽を聴く習慣
■年齢を重ねるごとに、音楽を聴く習慣が減っていく高ストレス女性
こんな興味深い結果もあります。厚生労働省ストレスチェック基準で算出した高ストレス者(77点以上)と、低ストレス者(39点以下)の音楽を聴く習慣を、年齢別で示したグラフです。女性の“節目年齢”と言われる7の倍数年齢を抽出*し、もっとも音楽を聴く習慣割合の多かった21歳を100%としてグラフ化したところ、高ストレス女性は年齢と共に割合が低下。70歳前後になると40.2%にまで減少します。一方の低ストレス女性は、シニアになるまですべての年齢で平均して80%以上が「音楽を聴く習慣」があり、人生を通して音楽と付き合っていくことが、ストレスオフに有効である可能性が見えてきました。
*各年齢は前後1歳を含み抽出。例:28歳=27・28・29歳。
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女性のストレスレベル別「音楽を聴く」習慣年齢変遷
■無音だと思っている空間も、実は…
つけっぱなしのテレビや、遠くを走る電車の音、注意を払わなければ聞こえてこないようなかすかな空調や冷蔵庫のラジエーター音まで。さまざまな音に囲まれている現代では、「静かなのが一番!」、そう思うこともあるでしょう。
しかし、こんなデータがあります。自然音のハイレゾリューション音源で心地のいい空間を生み出す「KooNe(クーネ)」を提供しているJVCケンウッド・ビクターエンタテインメント エンタテインメント・ラボが行った実験によると、「精神負荷の強い百マス計算実施時」「音のない安静な状態」「ハイレゾが流れる音のある空間」で被験者29名の心拍数およびLF(交感神経)/HF(副交感神経)への影響を比較したところ、心拍数も自律神経機能のバランスも「安静時」よりも「ハイレゾ音時」にリラックス傾向を示すことが判明。そんな結果から、音のない場所の代表のような図書館でも、リラックス効果や集中力を高めるためにこの「KooNe」のシステムが採用されています。
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音楽好きな方なら、どうぞ積極的に。そうでない方は、何もしないリラックス時間にBGMとして。先ほどの年齢別の結果からも、「音楽を聴く」はシニアにもおすすめの、取り入れやすいストレスオフの方法です。実家に帰えることが難しいこのGW、電話やオンライン帰省される方は、ご両親にもすすめてあげてください。
執筆・監修:ストレスオフラボ