リラックスだけじゃない。お風呂でぐっすり上質な眠りを

オフラボの「ココロの体力測定」から1週間の生活習慣についてまとめたところ、低ストレス女性・高ストレス女性共に高かったのが「湯船に浸かる」意識。清浄やリラックスはもちろんですが、実は今日の疲れを明日に持ち越さないための、大切な“睡眠儀式”でもあるのです。そこでお風呂と眠りの関係について、睡眠改善インストラクターの資格を持つ株式会社バスクリンの広報担当・石川泰弘さんにうかがいました。

■眠りの最初の3時間が決め手。「上質」な睡眠とは?

株式会社バスクリンの調査*では、「『毎日良く眠れている』という実感はありますか?」という質問に対して、「良く眠れている」はわずか7.5%、「あまり良く眠れていない」「眠れていない」を合わせると47.9%と、半数近くが睡眠に不満を抱えていることがわかっています。今年は「睡眠負債」という言葉まで流行し、今ますます「眠り」についての関心が高まっていますが、「ぐっすり眠れた」「朝快適に目覚められた!」と感じられるような「上質」な睡眠は、どうしたら手に入るのでしょうか。

一つはベッドルームの環境を整えることです。快適な室温は、夏は26℃程度、冬は17℃程度/室内灯はやわらかい明るさの暖色系のライトに/厚手のカーテンで外の音を軽減/寝返りのうちやすい大きめの枕を使うなど、快適な睡眠環境を整えましょう。

そして睡眠というと「たくさん寝なくちゃ」と思う人もいるかもしれませが、大切なのは“長さ”ではなく、“深さ”です。また、よく「眠りのゴールデンタイムは夜中12時から2時」と言われますが、重要なのは時刻ではありません。決め手となるのは、「ノンレム睡眠」と呼ばれ、脳と体をしっかり休める栄養分を吸収させ、淡白合成を促す成長ホルモンが分泌される入眠からの3時間。そしてこの時間を充実させるのに有効なのが、入浴です。生活が不規則になりがちなシフトワーカーでも、この3時間を意識すれば眠りはぐんと充実したものになります。

■入浴すると眠りに入りやすくなるメカニズム

私たちの体は「体温リズム」を持っています。朝の4時から5時ごろにもっとも温が下がり、徐々に上がって夜の6から8時ごろピークに。その後また明け方に向かって下降していきます。つまり、通常眠っている時間は、体温が下がっている時間ということ。言い方を変えれば「体温が下がると眠気を感じる」ようにできているのです。

出典:「人の体温リズムサーカディアンリズム」株式会社バスクリン

だから「上質な眠り」を考えるときにまず意識したいのは、入眠前に上手に体温を下げること。そのために有効なのがお風呂です。湯船に浸かると一時的に体温は上がりますが、その後徐々に下がっていきます。その波にうまく乗るように、入眠のタイミングを持ってくればいいわけです。熱すぎるお湯では体温が上がり過ぎてかえって寝付けなくなりますから、以下がポイントになります。

【上質な眠りに誘う入浴のポイント】

●ベッドに入る1時間~1時間半前に入浴を済ませる
●37~38℃程度のぬるめのお湯に浸かる
●10~15分間、全身浴する

どうしても寝付けないときは、こんな方法もあります。好きな匂いを嗅いでみる。小さな音で好きな音楽を聴いてみる。また、何か心配ごとで頭がいっぱいになって眠れないなら、不安要素が何なのかを洗い出してみるなど。あるアスリートは、一度読んだ漫画を見返したりするそうです。ストーリーがわかっていますから、気楽に読めるんですね。こんな風に、お風呂にプラス、自分自身にぴったりくる睡眠儀式を見つけられると、より安心&リラックスして眠りにつけるかもしれませんね。

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*調査方法:インターネット調査/対象:バスクリン会員 929名/実施期間:2015年7月23日~2015年8月2日/実施機関:株式会社バスクリン

取材・執筆:オフラボSTAFF 監修:石川泰弘

石川泰弘

石川泰弘Yasuhiro Ishikawa

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"株式会社バスクリン 広報責任者 / 博士(スポーツ健康医学)
入浴剤でおなじみ「バスクリン」の社員であり、温泉入浴指導員(厚生労働省規定資格)、睡眠改善インストラクター(日本睡眠改善協議会認定資格)の資格を持ち、2017年に順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科にて博士号を取得。「お風呂博士」として、『たった一晩で疲れをリセットする睡眠術』(日本文芸社)など執筆もこなす。"

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