現代の日本人のカロリー不足を改善する1975年型の食事とは?

「食べ過ぎはダメ」や、「●●オフ」「●●だけダイエット」など。世の中は食べることを制限する情報に溢れていますが、元来、食は生命の維持に欠かせないもの。極端な節制はその本能を阻害するストレスであり、そもそも現代人は、実はカロリー不足の傾向にあるのです。

■その睡眠不調、食ストレスが原因かも

朝起きて、夜眠りにつくまで、場合によっては睡眠中も。人はあらゆるシーンで、さまざまなストレスにさらされながら生きています。ストレスは「身体的ストレス」と「精神的ストレス」に大別されますが、食での「身体的ストレス」は食べるものの“内容”。「精神的ストレス」は、食べることに対する“考え方”と言えるでしょう。

例えば、定説のようになっている「食べると太る」ですが、生きるために重要な、また現代においては楽しみの一つである食べることを否定するのは、そもそも本能に背くこと。“ストレス中枢”と呼ばれる脳の視床下部が食をはじめとするストレスを認識すると、食欲が乱れるだけでなく、睡眠にも影響が出ます。睡眠不調を抱えている人は少なくないと思いますが、食事ストレスの影響も大きいのです。

■メタボの原因は「食べ過ぎ」ではない

体重のコントロールが難しくなってくる中年以降、メタボリック症候群の対策として、「食べ過ぎだよね」「カロリーを控えなきゃ」、そう考えがちですが、メタボ=代謝異常症候群であり、食べ過ぎなわけではありません。血糖値が上がったら糖質、血圧が高ければ塩分、尿酸値はプリン体を控えましょうというのが一般的なセオリーの今、まったくないわけでなありませんが、そこが主な原因ではなく、深刻なのはストレスなどによる自律神経乱れです。

また「食べ過ぎ」を栄養学的に見ても、むしろ現代の日本人はカロリー不足にあります。厚生労働省「国民健康・栄養調査」
によると、1人一日あたりのカロリー摂取量の推移をみると、高度経済成長期の1970年代の2,226カロリーをピークに下降。2010年で1,849カロリーにまで減少していますが、これは健康寿命の観点で見ると非常に深刻です。介護の現場で一番重視されているのは、食事量を増やすこと。年を取ると自然と食べる量が減ります。食欲が落ちる中で、いかに栄養を確保するか。100 歳で元気な人は、「食欲旺盛」で「食事は3食しっかり」派、特に朝ご飯を重視する食習慣です。

■理想は1975年型の日本食。1日5杯を目標にごはんを食べよう

2016年の東北大学大学院農学研究科の発表によると、1975年頃に食べられていた献立に近い食事と現代食の人への影響を比較したところ、1975年型の日本食は、健康の有益性が高いことがわかったそう。欧米型の食事の広まりと共に、一汁三菜に代表されるように食材や栄養素をバランスよく摂る、煮る・焼く・蒸すといったさまざまな調理法で食べる日本食ならではのよさが失われていることはもちろんですが、最も大きな変化は、ごはんの量。小麦系のパンや麺は伸びていますが、ごはんの量は40年前からすでに半分以下に。1975年型の理想は、1日5杯! それに具沢山のおみそ汁があれば、日常は、おかずを一品プラスすれば十分です。メタボ対策やダイエット目的だけでなく、ストレスに負けない強い体作りのためにも実践してみてください。

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取材・執筆:オフラボSTAFF 監修:柏原ゆきよ、オフラボ

柏原ゆきよ

柏原ゆきよYukiyo Kashiwabara

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管理栄養士 / 一般社団法人日本健康食育協会代表理事
4万人以上の食サポートの経験から、日本人の体質とライフスタイルに着目し、お米(雑穀米)を主軸に「しっかり食べて太らないカラダづくり」を目指す独自のメソッドを確立。認定資格講座「健康食育マスター講座」を主宰し、食育分野の人材育成に注力。著書『食べて飲んでおなかからやせる』(かんき出版)他多数。

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