しっかり睡眠をとっているはずなのに、眠い。とくに無理をしたわけでもないのに、だるい。あるいは、風邪ではなさそうなのに、熱が下がらない……。「そんなのしょっちゅう」「もう慣れてしまった」という人は、要注意! 原因は自分でも気づいていない「ストレス」にある可能性があり、慢性化すると、うつ病を始めつらい心身の不調につながることも。
■14万人データの約半数は「いつも疲れている」という衝撃
「疲れている」「睡眠不足」「腰が痛い」「だるい」などなど。これらの頭につく言葉で、ピンとくるものといえば何でしょうか。答えは“慢性的に”。全国14万人の20~69歳男女を対象としたオフラボ「ココロの体力測定2019」の結果では、約半数の6万9,206人が、疲れが6か月以上抜けない「慢性疲労」を感じています。さらに、「慢性疲労なし」の6万2,903人と比較すると、「だるい」は4.25倍、「飽きる・眠い(物事に集中できない)」は3.92倍、「熱が下がらない(ほてり症状がある)」は4.14倍にものぼります。思い当たる人も多いのでは?
慢性疲労を抱える日本人の悩み・症状
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■その①:「疲労」の原因。それはストレスと密接な活性酸素
ひと昔前まで、運動後の疲れは「乳酸のせい」とされてきましたが、近年の数々研究で、過剰に発生した「活性酸素」が原因であることがわかりました。本来は体内に侵入したウィルスなどの敵を攻撃して、体を守る重要な物質です。しかし増え過ぎると、ヒトが生きる上で重要な活動を司る自律神経をサビつかせ、機能が低下。さまざまな不調となって心身に現れますが、「疲労」はそんな症状の一つであり、活性酸素を過剰に発生させる刺激の多くは、現代人と生活とは切っても切り離せない「ストレス」です。毎日の生活でのストレスの付き合い方と同時に、大豆に含まれるイソフラボンや、緑黄色野菜に多く含まれるβカロテンなど、抗酸化作用のある栄養素をバランスのいい食事で摂ることも大切です。
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■その②:「眠い」は疲労につながるサイン
疲労とストレスの関係をお話しましたが、ヒトの体はよくできているもので、実は疲労はいきなりやってくるわけではなく、その前に、重要なアラートを発しています。まずは「飽きる」。いわゆる、集中力が切れてしまった状態です。そしてもう一つが「眠い」です。いつもと同じように過ごしているつもりなのに集中できなかったり、あくびが止まらなかったり。日本においては満員電車の通勤や、ママ友づきあいだって、ストレスに。気づかないうちに活性酸素が自律神経をサビつかせて、じわりじわりと疲労が溜まっているのかも。毎日の行動、ちょっと振り返ってみませんか?
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■その③:「熱が下がらない」はストレス性発熱の可能性も
そしてもう一つ、近ごろ話題となっている慢性的な熱症状も、ストレスが原因になっている可能性があります。発熱には2つのメカニズムがあり、一つは風邪に代表されるウィルスによるもの。そしてもう一つが、心因性、すなわちストレスによる心因性発熱(ストレス性発熱)です。
ストレスにより体温が上がる状態は、実は誰でも日常的にあります。ポジティブな例は、緊張感というストレスにさらされつつ、それがやる気につながる仕事のプレゼンなどのシチュエーション。ネガティブな例は、いくら言っても宿題をやらない子どもにかっとなってしまったような時。これらが一時的なものであれば問題ありませんが、毎日のようにプレゼン続きで緊張の連続(さらに睡眠不足)、子育てや家事で毎日イライラしているとなると、ちょっとした刺激でも体温が上がるようになり、慢性的な微熱・高熱に陥ってしまう可能性があるのです。
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こういった不調は、往々にして「年のせい」で片づけてしまいがちです。でも日ごろからストレスとうまく付き合う工夫をしたり、受けているストレスを日常的にケアするセルフメンテナンスへの心がけで、未来の健康は大きく変わるもの。ストレスオフ、今日から始めませんか?
執筆・監修:ストレスオフラボ